自治体の終活相談で相談できることと利用前の準備
お墓、葬儀、身の回りの整理。終活を始めようと思っても、何から手を付ければよいか迷うことがあります。
そのようなときは、住んでいる自治体に終活の相談窓口や案内があるかを調べてみましょう。ここでは、西東京市が発表した取り組みを例に、相談の使い方と、事前に整理しておきたいことを紹介します。
情報確認日:2026年10月26日
先に押さえたいポイント
まず住んでいる自治体に相談先・対象者・費用を確認し、いま一番気になることを一つ伝えましょう。
- 相談できる内容と利用条件を確認する
- 困りごとと希望をメモする
- 無料相談と有料契約を区別する

紹介された事業者には、申し込む必要があるの?

紹介を受けることと契約することは別です。必要な支援と費用を確認してから判断しましょう。

西東京市が発表した終活支援
西東京市は2026年10月21日、鎌倉新書と終活に関する連携協定を締結し、10月23日に公表しました。発表された取り組みには、終活関連冊子の配布、専用相談ダイヤル、講座や個別相談会などがあります。[出典1]
市版エンディングノートなどの無償配布は12月1日から、市民向け講座と個別相談会は12月19日に予定されています。相談ダイヤルでは相続、お墓、身元保証などを扱うとされています。[出典1]
これらは西東京市の取り組みです。他の自治体で同じ窓口やサービスを利用できるとは限らないため、お住まいの地域の公式情報を確認してください。
相談ダイヤルの利用開始日、対象者、受付時間は、利用前に西東京市の最新の案内で確認してください。
自治体の窓口に期待することを整理する
終活と聞くと、葬儀やお墓を決めることを思い浮かべるかもしれません。しかし、相談したいことは、家の整理、連絡先の共有、これからの暮らしなど、いくつもの分野にまたがります。何を解決したいかがはっきりしていない段階では、最初に情報を整理する相手がいるだけでも助けになります。
自治体の案内を利用する際は、その窓口が何を担当するのかを確認しましょう。情報提供や相談先の紹介を行う窓口なのか、個別の手続きについて相談できるのかで、受けられる支援は異なります。「終活を相談できる」と書かれていても、希望する業務をすべて代行してもらえるという意味とは限りません。
また、自治体が事業者と協定を結んでいることと、自分が申し込む個々の契約の内容は分けて考えます。市の案内で知ったサービスでも、契約相手や料金、実施する業務は説明を受けて判断してください。公的な窓口を入り口として利用しながら、個別の選択は自分の希望に照らして考える姿勢が大切です。
お住まいの地域で窓口を探す方法
まず、自治体の公式サイトで「終活」「エンディングノート」「高齢者相談」などの言葉を調べてみましょう。検索結果を開いたら、自治体名、更新日、利用対象、問い合わせ先を確認します。地域名が似ている別の自治体や、過去の催しの案内を見ていないかにも注意してください。
検索で見つけにくいときは、市区町村の代表窓口に、相談したい内容を具体的に伝えて担当部署を尋ねる方法があります。「終活全般」だけでなく、「お墓についての情報がほしい」「一人暮らしで今後の備えを相談したい」と話すと、どの窓口が合うかを確認しやすくなります。
地域包括支援センターなどに相談する場合も、終活に関するどの範囲を扱うか、本人や家族の住所によって担当が変わるかを確認しましょう。西東京市の冊子配布の予定が、ほかの地域にも当てはまるとは限りません。自分の自治体で現在受けられる案内を一つずつ確かめてください。
講座や相談会は、開催日だけでなく申し込みの要否、定員、対象者、持ち物も確認します。過去の告知を参考にする場合は、次の開催予定を直接問い合わせるとよいでしょう。サイトに詳しい説明がないことだけで、相談の余地がないと判断する必要はありません。
相談内容がまとまっていなくても書き出してみる
終活の相談では、最初から具体的なサービスを決めておく必要はありません。まず、気になっていることを言葉にしてみましょう。
たとえば、「子どもが遠方にいるので、お墓の管理が心配」「葬儀の希望を家族にどう伝えればよいか分からない」「身の回りの整理を始めたいが、相談先が分からない」といった内容です。
相談先の役割や対象範囲を聞いたうえで、自分の困りごとを伝えれば、そこで相談を続けるか、別の窓口に確認するかを整理しやすくなります。
初回相談に持っていくメモの作り方
相談前にすべての資料を集めようとすると、それだけで負担になることがあります。まずは一枚の紙に、いま困っていること、将来心配していること、すでに決まっていることの三つを書いてみましょう。相談の目的は、最初から完璧な計画を提出することではありません。
たとえば、「いま困っていること」は親の家に書類が多く必要な物が見つからないこと、「将来の心配」はお墓を管理する人がいなくなること、「決まっていること」は家族が月に一度集まれること、と整理できます。いつ何をできそうかまで分かると、相談後の行動を考えやすくなります。
持参する資料に迷ったら、予約の段階で必要なものを尋ねてください。最初から財産に関する書類や個人情報の多い資料をすべて渡すより、相談内容に応じて何が必要かを確かめる方が整理しやすくなります。本人の相談に家族が同席する場合は、本人がどこまで共有したいかも話しておきましょう。
相談中に聞きたいことを忘れそうなら、質問に優先順位を付けます。最優先は何をするか、次にどこへ相談するか、最後に準備する資料は何か、という順番でも構いません。時間内に全部聞けなかった場合は、次回の相談方法や別の確認先を尋ねておくと、その後につながります。
消費者庁も、高齢者等終身サポート事業を利用する際は、サービス内容や支払い能力などを確認し、不安があれば消費生活センターや地域包括支援センターに相談するよう案内しています。[出典2]
相談窓口を利用する前に確認すること
| 確認すること | 質問例 |
|---|---|
| 利用対象 | 本人のほか、家族も相談できますか。居住地や年齢の条件はありますか |
| 予約 | 予約は必要ですか。電話と対面では相談内容に違いがありますか |
| 担当者 | 市の職員、民間事業者、専門職のどなたが対応しますか |
| 費用 | どこまで無料で、どこから料金がかかりますか |
| 紹介先 | 別の事業者を紹介される場合、選択肢や料金を比較できますか |
| 情報の共有 | 相談内容や連絡先は、どの相手に共有されますか |
これは窓口を選ぶ際の確認例です。すべての窓口に同じ仕組みがあるという意味ではありません。
特に、無料で相談できる場合でも、その後に利用するサービスの費用は別に確認しましょう。相談と契約の区切りを理解しておくと、必要な支援を選びやすくなります。
家族の状況別に考える相談の進め方
一人暮らしで連絡を頼める相手が少ない場合
「家族に頼れない」という悩みは、そのまま一つのサービス名に置き換えず、どの場面で誰の手助けが必要かに分けてみましょう。体調を崩したときの連絡、入院時の相談、家の管理、亡くなった後の手配などでは、必要な支援が異なります。
相談では、「自分が連絡できないとき、誰に何を伝えてほしいか」を具体的に話します。窓口で対応できることと、専門の事業者などに別途確認することを分けてもらいましょう。身元保証などの言葉を見つけても、名称だけで必要な支援が全部含まれると判断せず、個別の業務を確認することが大切です。
子どもが遠方に住んでいる場合
距離があると、日常の様子が分からないことと、急なときに移動しにくいことが別々の課題になります。どちらを優先して備えたいのかを整理して相談しましょう。子どもに何も負担をかけたくないと考える場合も、どのような連絡なら受けてほしいかを話しておく余地があります。
電話での相談や家族の同席ができるか、本人が住む自治体と家族が住む自治体のどちらへ尋ねるとよいかも確認事項です。相談結果は、家族に伝えてよい範囲を本人と確認して共有するとよいでしょう。離れているからこそ、何が決まり、何が未定かを言葉で残すことが役立ちます。
親の終活を子どもが手伝う場合
子どもが心配していることと、親本人が気になっていることは、必ずしも一致しません。「お墓をどうするのか早く決めてほしい」と話す前に、本人がどのように考えているかを聞いてみましょう。決められない理由が、情報不足なのか、家族の意見が気になるのかによって、必要な相談は変わります。
本人が話したくない時期なら、まず自分の希望を書いて見せる方法もあります。「自分はこう考えているけれど、どう思う」と尋ねると、質問に答えるだけの場になりにくくなります。相談会へ誘う際も、何かを契約するためではなく、選択肢を知る機会として目的を共有するとよいでしょう。
お墓や供養の相談は現在の状況をメモする
お墓について相談するときは、心配事だけでなく、現在のお墓の所在地や管理者、家族が考えていることを書いておくと話が進めやすくなります。
墓じまいを考えているなら、「管理を続けるのが難しいのか」「費用が心配なのか」「遠くてお参りに行けないのか」を分けてみてください。同じ墓じまいの相談でも、解決したい問題によって検討する選択肢は変わります。
菩提寺や墓地の管理者にも、現状と希望を伝える機会を作りましょう。窓口で得た情報をもとに、「自分たちのお墓では何を確認する必要があるか」を相談すると具体的です。
お墓の相談は結論を急がず問題を分ける
お墓について「子どもに迷惑をかけたくない」と思っていても、何を負担に感じるかは家族によって違います。掃除や草取り、遠方への移動、費用、将来の管理など、具体的な困りごとを書き出してみてください。何が問題かを整理することで、現在のお墓を続ける方法も含めて考えやすくなります。
相談窓口には選択肢の情報を求め、お墓や寺院に関する個別の条件は管理者などへ確認します。一般的な説明で分かったつもりにならず、「自分の家のお墓では、どのような相談が必要ですか」と聞くことが大切です。家族の希望を整理することと、手続きや費用を確認することを分けて進めましょう。
新しい供養先を検討する場合も、今の負担がどのように変わるかを考えます。名称や初期費用だけでなく、お参りの方法、管理の内容、その後の供養について知りたい点をメモしてください。相談を受けたその日に答えを出すより、家族が同じ情報を見て考えられる状態を作ることが、納得につながります。
エンディングノートは気になる項目から始める
西東京市は、市版エンディングノートなどを無償配布すると発表しています。[出典1] 冊子を入手したら、最初からすべて埋めようとせず、いま書けることから始めてみましょう。
連絡してほしい人、葬儀について家族に伝えたい希望、お墓や供養について気になっていること。判断できない項目は、空欄でも「相談したい」と記入しても構いません。
記入した内容を必要なときに家族が見つけられるよう、保管場所も共有しておきましょう。希望が変わったときに見直せるよう、記入日を書いておく方法もあります。
無料相談と有料の依頼を分けて考える
無料の相談窓口を利用した後、具体的なサービスを紹介されることがあるかもしれません。そのときは、相談を受けたことへのお礼と、契約するかどうかの判断を分けて考えましょう。丁寧に説明してもらったからという理由だけで、すぐに申し込む必要があるかのように受け止めないことが大切です。
説明を聞く際は、「今回は情報を知りたい段階です」「持ち帰って家族と相談してから決めたいです」と目的を伝えます。費用が発生する業務は、何をどこまで行うのか、誰が実施するのか、いつ支払うのかを確認してください。初期費用だけでなく継続的な支払いがあるかも聞いておくと、家計への影響を考えやすくなります。
複数の業務が一つの契約に含まれる場合は、それぞれの役割を説明してもらいましょう。自分でできる部分や、家族が引き受ける部分があれば、依頼内容を調整できるかを相談します。必要な支援を選ぶためには、ひとまとめの安心という印象より、具体的な業務の内容を理解することが役立ちます。
契約の変更、解約、担当事業者が対応できなくなった場合の扱いも、申し込む前の確認項目です。将来に備えるサービスほど、今すぐ使う部分と後から使う部分が分かれる可能性があります。分からない条件はそのままにせず、書面と説明を照らし合わせて確認しましょう。
契約内容を確認する際は、消費者庁が公開するチェックリストも参考になります。業務と費用、緊急時の連絡、契約変更や解約時の扱いなどを確認する項目が設けられています。[出典3]
相談後の記録は家族にも分かる形で残す
相談した日付、窓口名、説明された内容、次に確認する相手を記録しておくと、複数の相談先を利用しても整理しやすくなります。専門用語をそのまま並べるより、「これは情報提供まで」「この手続きは別の窓口で確認する」と、自分の言葉で書く方法が役立ちます。
説明された内容と、自分が決めたことは分けて残しましょう。「こういう選択肢があると聞いた」段階なのに、家族が「もう申し込んだ」と受け取ると行き違いが生まれます。検討中、確認中、依頼済みなどの状態を書いておくと、家族が途中から手伝う場合も状況を把握しやすくなります。
また、相談した後に本人の希望が変わることもあります。以前のメモを消してしまうより、新しい日付で変更点を残し、何が現在の希望かを分かるようにするとよいでしょう。資料を増やすこと自体が目的ではありません。必要な人が必要なときに確認できる範囲で、無理なく管理することが大切です。
自治体の終活相談についてよくある疑問
元気なうちから相談してもよいですか
利用できる条件は窓口ごとに確認してください。将来の準備を目的とした講座や資料があれば、いま困っていなくても情報を得る機会になります。体調が悪くなってからすべてを考えるのが心配なら、まず自分の地域で何が案内されているかを調べるところから始めてみましょう。
家族だけで相談することはできますか
本人以外が利用できるか、同居や居住地などの条件があるかを窓口に尋ねてください。一般的な情報を聞くことと、本人に関する個別の相談や手続きを行うことは分けて確認します。本人が意思を伝えられる状況なら、その希望を確かめながら進めることも大切です。
相談先を紹介されたらそこを利用すべきですか
紹介は選択肢を知る機会として受け止め、具体的な内容や費用を確認して判断しましょう。ほかの選択肢も知りたい場合は、その意向を伝えて構いません。自治体との関係だけで自分に最適と考えず、必要な支援と契約内容が合うかを見てください。
エンディングノートは相談前に完成させる必要がありますか
窓口から準備を指定されていなければ、まず必要な持ち物を聞いてください。書けない項目や迷っていること自体が相談のきっかけになります。空欄を埋めるために無理に結論を出すより、誰に何を聞きたいかを整理する使い方もできます。
終活の窓口が見つからない場合はどうすればよいですか
困りごとを一つに絞って、市区町村に問い合わせてみましょう。すべてを扱う専用窓口がなくても、内容に応じた確認先を尋ねられます。お墓、暮らし、家族への連絡など、いま最も気になっていることを具体的に伝えると、次の行動を考えやすくなります。
相談後に次の行動を一つ決める
相談を終えたら、「家族にお墓の希望を聞く」「お寺へ相談する」「紹介された窓口の対象や料金を確かめる」など、次の行動を一つ決めてみてください。
終活は、一度ですべてを決めなくても進められます。困りごとを整理し、誰に何を相談すればよいかを知ることも、大切な準備です。
出典
1. 西東京市 鎌倉新書との終活に係る連携協定(2026年10月23日公表、協定締結10月21日)
2. 消費者庁 高齢者等終身サポート事業の利用に関する注意点(2026年10月26日確認)
3. 消費者庁 高齢者等終身サポート事業者ガイドラインのチェックリスト(2026年10月26日確認)
